酵母エキスは自然由来でもリン含有量が多いって本当?

酵母エキスは自然由来でもリン含有量が多いって本当?

酵母エキスは自然由来の添加物ですが、リン含有量が多いということをご存知ですか?リンは体に必要なミネラルですが、摂りすぎると腎臓や骨や血管の健康に悪影響を及ぼす可能性があります。この記事では、酵母エキスのリン含有量や摂取基準、リン中毒の症状や予防法、食品表示や食事バランスのコツなどを管理栄養士が分かりやすく解説します。また、酵母エキスのリン以外の栄養素や効果についても紹介します。酵母エキスのリンに関する真実を知って、健康的な食生活を送りましょう。
とっきー
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酵母エキスは自然由来でもリン含有量が多いって本当?

こんにちは、この記事では酵母エキスについて詳しく解説していきます。酵母エキスは自然由来の食品ですが、リン含有量が多いということをご存知でしょうか?リンは体に必要なミネラルですが、摂りすぎると健康に悪影響を及ぼす可能性があります。そこで、酵母エキスのリン含有量や体への影響、摂りすぎないためのコツなどを管理栄養士がわかりやすくお伝えします。酵母エキスのリン以外の栄養素や効果についても触れていきますので、ぜひ最後までお読みください。

 

酵母エキスとは何?

 

酵母エキスとは、パンやビールなどの製造に使われる酵母を加水分解して得られるエキスのことです。酵母エキスには、たんぱく質やアミノ酸、ビタミンB群、ミネラルなどが豊富に含まれており、うま味や風味を高める効果があります。そのため、酵母エキスは調味料や食品添加物として、スープやソース、インスタント食品、レトルト食品などに広く使われています。酵母エキスは自然由来の食品であり、化学合成されたものではありません。しかし、酵母エキスにはリンが多く含まれているということを知っておく必要があります。

 

酵母エキスのリン含有量とは?

 

酵母エキスのリン含有量は、製品によって異なりますが、一般的には100gあたり2000mg程度と言われています。これは、牛乳やチーズなどの乳製品の約10倍、魚や肉などの動物性食品の約5倍の量です。酵母エキスに含まれるリンは、主に無機リンとして存在しています。無機リンとは、リン酸塩の形で食品に含まれるリンのことで、体内で吸収されやすいという特徴があります。しかし、無機リンは摂りすぎると体に悪影響を及ぼす可能性があります。

 

酵母エキスのリンが体に及ぼす影響とは?

 

リンは、カルシウムとともに骨や歯の形成に必要なミネラルです。また、細胞のエネルギー代謝や神経伝達などにも関与しています。リンは体内で一定の濃度に保たれるように調節されており、過剰に摂取しても尿として排泄されます。しかし、腎臓の機能が低下している場合や、摂取量が極端に多い場合は、血液中のリン濃度が上昇してしまうことがあります。これを高リン血症と呼びます。高リン血症になると、以下のような健康問題が起こる可能性があります。

 

骨粗しょう症:

リンとカルシウムのバランスが崩れると、骨からカルシウムが溶け出して骨密度が低下します。これにより、骨がもろくなり、骨折しやすくなります。

心血管疾患:

高リン血症は、血管の硬化や炎症を促進すると考えられています。これにより、動脈硬化や心筋梗塞、脳卒中などのリスクが高まります。

皮膚症状:

高リン血症は、皮膚のかゆみや発赤、乾燥などの症状を引き起こすことがあります。これは、リンが皮膚の神経を刺激するためと考えられています。

代謝異常:

高リン血症は、カルシウムやマグネシウム、ビタミンDなどの代謝にも影響を与えます。これにより、低カルシウム血症や低マグネシウム血症、ビタミンD欠乏症などが起こる可能性があります。

 

酵母エキスのリンを摂りすぎるとどうなる?

 

酵母エキスのリンを摂りすぎると、上記のような高リン血症のリスクが高まります。特に、腎臓の機能が低下している人や、高齢者、妊婦、授乳中の女性などは注意が必要です。酵母エキスのリンを摂りすぎないためには、1日の摂取量を3000mg以下に抑えることが推奨されています。これは、日本人の食事摂取基準で定められたリンの耐容上限量です。酵母エキスのリン含有量は製品によって異なりますが、一般的には100gあたり2000mg程度と言われています。したがって、酵母エキスを1日に100g以上摂取すると、リンの耐容上限量を超える可能性があります。酵母エキスは、調味料や食品添加物として使われていることが多いので、食品の成分表示や栄養表示を確認することが大切です。また、酵母エキス以外にも、リンを多く含む食品を摂取する場合は、全体のバランスに気をつける必要があります。

 

酵母エキスのリンを摂りすぎないためのコツは?

 

酵母エキスのリンを摂りすぎないためには、以下のようなコツがあります。

 

  • 酵母エキスを使うときは、少量で十分なうま味や風味を出すようにしましょう。酵母エキスは、塩分や糖分も含まれているので、過剰に使うとカロリーやナトリウムの摂取量も増えてしまいます。
  • 酵母エキスを使った料理には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含む食材を一緒に摂取しましょう。これは、リンとカルシウムやマグネシウムのバランスを保つために有効です。例えば、酵母エキスを使ったスープには、ほうれん草やチーズなどを加えると良いでしょう。
  • 酵母エキスを使わない代わりに、自然なうま味や風味を出す方法を試してみましょう。例えば、野菜や肉などの素材の旨みを引き出すために、じっくりと炒めたり煮込んだりすると良いでしょう。また、昆布や干し椎茸などの乾物や、醤油や味噌などの発酵食品を使うと、自然なうま味や風味が増します。
  • 酵母エキスの摂取量を把握するために、食事の記録をつけてみましょう。食事の記録には、食べた食品の名前や量、酵母エキスの含有量やリンの含有量などを記入します。これにより、酵母エキスの摂取量やリンの摂取量の傾向やバランスを確認することができます。食事の記録は、紙やノートに書くだけでなく、スマホやパソコンなどのアプリやソフトを使っても構いません。

 

酵母エキスのリン以外の栄養素や効果とは?

 

酵母エキスのリンを摂りすぎないように注意することは大切ですが、酵母エキスにはリン以外にも多くの栄養素や効果があります。酵母エキスに含まれる主な栄養素や効果は以下のとおりです。

 

たんぱく質やアミノ酸:

酵母エキスは、たんぱく質やアミノ酸を豊富に含んでいます。たんぱく質やアミノ酸は、筋肉や皮膚、髪などの体の組織を作る材料となります。また、アミノ酸には、グルタミン酸やアスパラギン酸などのうま味成分が含まれており、食欲を増進させる効果があります。

ビタミンB群:

酵母エキスは、ビタミンB1、B2、B6、B12、ナイアシン、パントテン酸、ビオチンなどのビタミンB群を含んでいます。ビタミンB群は、糖質や脂質、たんぱく質の代謝を促進し、エネルギーを生成するのに必要です。また、神経系や血液の健康にも関係しています。

ミネラル:

酵母エキスは、リンのほかにも、カリウム、マグネシウム、カルシウム、鉄、亜鉛などのミネラルを含んでいます。ミネラルは、骨や歯の形成や、神経や筋肉の働きに必要です。また、鉄は、血液中のヘモグロビンの生成に必要で、貧血の予防にも効果があります。

免疫力の向上:

酵母エキスには、β-グルカンという多糖類が含まれています。β-グルカンは、免疫細胞の活性化を促進し、免疫力を向上させると言われています。これにより、感染症やアレルギーなどの予防にも効果が期待できます。

 

まとめ

 

酵母エキスは自然由来の食品であり、たんぱく質やアミノ酸、ビタミンB群、ミネラルなどの栄養素や効果が豊富に含まれています。しかし、酵母エキスにはリンも多く含まれており、摂りすぎると高リン血症のリスクが高まります。高リン血症になると、骨粗しょう症や心血管疾患などの健康問題が起こる可能性があります。酵母エキスのリンを摂りすぎないためには、1日の摂取量を3000mg以下に抑えることが推奨されています。また、酵母エキスを使うときは、少量で十分なうま味や風味を出すようにしましょう。酵母エキスを使った料理には、カルシウムやマグネシウムなどのミネラルを含む食材を一緒に摂取しましょう。酵母エキスを使わない代わりに、自然なうま味や風味を出す方法を試してみましょう。酵母エキスの摂取量を把握するために、食事の記録をつけてみましょう。酵母エキスは、栄養素や効果が豊富な食品ですが、摂りすぎには注意しましょう。酵母エキスのリン含有量や体への影響について、この記事で詳しく解説しました。ぜひ参考にしてください。